「今の女は丸で動物のように、生存競争の為めには、あらゆるものと戦うようになっているのではないでしょうか」

森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
森鴎外の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1862年2月17日~1922年7月9日(60歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、翻訳家、軍医

原文

「今の女は丸で動物のように、生存競争の為めには、あらゆるものと戦うようになっているのではないでしょうか」

解説

この言葉は、近代化の中で変化した女性の生き方とその逞しさを表している。ここで「動物のように」と形容しているのは、理性よりも本能的な生存意識の強さを指しており、批判というよりも現象の観察に近い。社会の変化に伴い、女性が家庭内だけでなく、教育・職業・社会活動の場でもあらゆる障害や競争相手と戦うようになったことが背景にある。

森鴎外が生きた明治から大正期は、女子教育の普及や職業進出が進み、女性の社会的役割が拡大しつつあった一方、依然として旧来の性別役割観が根強く残っていた。そのため、女性は新しい権利や地位を得るために、男性優位の社会構造や文化的偏見とも戦わなければならなかった。この言葉は、その状況を動物的闘争本能になぞらえて表現している。

現代においても、この構図は形を変えて存在する。女性は依然として職場や社会でガラスの天井や差別と戦う場面があり、同時に自己実現のための競争にも挑んでいる。こうした意味で、この言葉は単なる性別論を超え、生存競争の中で逞しく適応しようとする人間の姿を象徴しているともいえる。

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