「倫理的にして始めて芸術的なり。真に芸術的なるものは必ず倫理的なり」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「倫理的にして始めて芸術的なり。真に芸術的なるものは必ず倫理的なり」
解説
この言葉は、芸術と倫理は本来不可分であるという考えを述べている。ここでいう「倫理的」とは、単に道徳的に善いという意味だけではなく、人間存在の根本に誠実であること、社会や生命に対して真摯であることを含む。芸術が真に価値を持つためには、この倫理的基盤が欠かせないというのである。
倫理性を欠いた芸術は、技巧的に優れていても空虚になりやすい。例えば、一時的な刺激や扇情的表現は人を驚かせることはできても、長く心に残る普遍的価値を生み出しにくい。それに対し、倫理的な土台を持つ芸術は、人間の尊厳や真実に触れ、人の精神を豊かにする力を持つ。
この言葉はまた、現代のアート論にも通じる。挑発や破壊だけを目的とする作品よりも、人間の内面や社会への洞察と責任を伴った表現こそが、最も深い芸術性を帯びるという視点を示しており、芸術家の在り方そのものを問う警句となっている。
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