「役人は人民の召使である。用事を弁じさせる為めに、ある権限を委托した代理人の様なものだ」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「役人は人民の召使である。用事を弁じさせる為めに、ある権限を委托した代理人の様なものだ」
解説
この言葉は、役人(公務員)は本来、国民のために働く存在であり、権限は国民から委ねられたものであるという民主主義的原則を明確に述べている。「召使」という表現は挑発的だが、役人は支配者ではなく、国民の生活や行政上の用事を処理するために雇われた存在であるという意味を持つ。権限は役人自身の所有物ではなく、人民が必要な仕事を遂行するために一時的に託されたものに過ぎないとする立場である。
この発想の背景には、漱石の近代的市民意識と権力観がある。明治期の日本では中央集権的な官僚制が強化され、役人はしばしば権威的な立場として国民の上に立つ存在と見なされていた。漱石はそれに対して、本来は主従関係が逆であり、役人は国民のために奉仕すべき立場であることを強調している。
現代においても、この指摘は依然として重要である。行政機関や公務員が自己保身や組織の利益を優先すれば、国民との信頼関係は失われる。権力は委託されたものであり、国民に奉仕するための手段である——この言葉は、時代を超えて公的権力の在り方を考え直させる警句となっている。
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