「人よりも空、語よりも黙。・・・・・・肩に来て人懐かしや赤蜻蛉」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「人よりも空、語よりも黙。・・・・・・肩に来て人懐かしや赤蜻蛉」

解説

この言葉は、人間関係や言葉の喧噪を離れ、自然や静寂の中で心の安らぎを見出す情景を描いている。「人よりも空」は、人との交流よりも広く澄んだ空に心を向けたいという姿勢を示し、「語よりも黙」は、多弁よりも沈黙に価値を置く態度を表す。その静けさの中で、不意に肩にとまった赤とんぼが、人恋しさや郷愁を呼び起こす場面が描かれている。

この表現の背景には、漱石が晩年に抱いた静寂志向と自然への回帰がある。明治から大正にかけての都市化と人間関係の複雑化の中で、漱石はしばしば精神的疲弊に悩まされ、自然や静けさの中に心の救いを求めた。赤とんぼという素朴な生き物は、日本の秋の象徴であると同時に、過ぎ去った時間や故郷を想起させる存在でもあった。

現代においても、この言葉は深い共感を呼ぶ。日常生活が情報や人間関係にあふれる中、静かな時間や自然とのふれあいが心を癒すことは多い。赤とんぼのような小さな出来事が、失われた感情や記憶を優しく呼び戻すこともある。この言葉は、喧噪から離れた場所にこそ見える人間らしさと温かさを教えている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「夏目漱石」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る