「麺麭に関係した経験は、切実かも知れないが、要するに劣等だよ。麺麭を離れ水を離れた贅沢な経験をしなくっちゃ人間の甲斐はない」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「麺麭に関係した経験は、切実かも知れないが、要するに劣等だよ。麺麭を離れ水を離れた贅沢な経験をしなくっちゃ人間の甲斐はない」
解説
この言葉は、生活の糧を得るための経験(麺麭=パンを象徴とする生計手段)だけでは、人間としての価値は十分に発揮されないという主張である。「麺麭に関係した経験」とは、生きるために最低限必要な衣食住を確保する活動を指し、それが切実で重要であることは否定していない。しかし、それだけに終始すれば、精神的・文化的な豊かさや自己実現の可能性を見失うと述べている。
ここで「麺麭を離れ水を離れた贅沢な経験」とは、生活の必需を超えた領域、例えば芸術、哲学、旅行、学問、恋愛といった、直接的な生存には関係しないが人間性を深める経験を意味する。それらは物質的欲求を超え、精神や感性を満たすものであり、それを持つことで初めて「人間の甲斐」、つまり人として生きる意義が成立すると説いている。
現代においても、この考え方はワークライフバランスや自己成長の重要性として理解できる。生計のための労働だけでなく、自分を磨き、視野を広げ、心を満たす活動に時間とエネルギーを注ぐことが、人間としての充足感や誇りを生むという視点は、時代を超えて価値を持つ。
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