「離れればいくら親しくっても夫切になる代りに、一所にいさえすれば、たとい敵同志でも何うにか斯うにかなるものだ」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「離れればいくら親しくっても夫切になる代りに、一所にいさえすれば、たとい敵同志でも何うにか斯うにかなるものだ」
解説
この言葉は、人間関係は距離によって変化するという現実を述べている。どれほど親しい間柄でも、物理的・時間的に離れてしまえば疎遠になる(夫切=縁が切れる)一方で、たとえ敵同士であっても、同じ場所や状況で過ごし続ければ、ある程度は打ち解けたり、協調せざるを得ない関係になるという指摘である。
背景には、人間関係を支えるのは「感情」だけでなく、接触頻度や共有する環境といった現実的な要素が大きいという心理的洞察がある。これは単なる友人関係だけでなく、職場や家族、戦時下の捕虜と看守の関係などにも当てはまる。近くにいれば、共通の課題や日常が自然に絆を生むことがある。
現代においても、SNSやオンライン通話が普及したとはいえ、直接顔を合わせて共有する時間や空間の力は大きい。この言葉は、距離の持つ作用と、環境が人間関係を形作る不可避性を端的に表している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
「夏目漱石」の前後の名言へ
申し込む
0 Comments
最も古い