「人間の歴史は肉の歴史にあらず、骨の歴史にあらず、血の歴史にあらず、単に衣服の歴史である」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「人間の歴史は肉の歴史にあらず、骨の歴史にあらず、血の歴史にあらず、単に衣服の歴史である」

解説

この言葉は、人類の歴史とは、本質的な身体や生命そのものの変化ではなく、外面的な装い=文化や風俗の変化の歴史であるという皮肉を込めた見方を示している。ここでいう「衣服」は文字通りの服装だけでなく、社会制度、習慣、価値観といった人間が時代ごとに身にまとう外的な変化の象徴である。

漱石が生きた明治期は、西洋化によって服装や生活様式が急激に変化していた時代であり、表面的には大きく変わったように見えても、人間の本質や欲望、性格はほとんど変わらないという現実があった。漱石はこのギャップを風刺し、人類史を「衣服の歴史」として表現することで、文明の変化の限界を指摘している。

現代においても、この洞察はテクノロジーや流行がいくら進化しても、人間の根本的な性質は変わらないという事実に通じる。スマートフォンやインターネットの普及で生活様式は大きく変わっても、人間の感情や争いの構造は過去とほとんど同じである。漱石のこの言葉は、歴史の本質を外見の変化に惑わされずに見抜く視点を与えてくれる。

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