「二十世紀に斬った張ったが無暗に出て来るものではない」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「二十世紀に斬った張ったが無暗に出て来るものではない」
解説
この言葉は、二十世紀という近代化・文明化の時代に、刀で斬り合ったり力ずくで争ったりするような暴力的行為は、むやみに現れるものではないという考えを示している。漱石は、時代の進歩に伴い、社会の争い方や対立の形が変化し、露骨な武力衝突は減少していくと見ていた。
漱石の生きた明治期は、日本が近代国家として国際社会に加わり、旧来の武士的な価値観から脱却しつつあった時代である。「斬った張った」という表現は、封建時代の武力解決や血なまぐさい争いを象徴する言葉であり、それが近代社会においては不釣り合いなものになっていくという感覚があった。
現代においても、この言葉は暴力的な解決方法が法や制度、外交などの非武力的手段に置き換えられるべきだという発想に通じる。ただし、現実には戦争や暴力事件が絶えないため、この漱石の見通しは理想と現実の間で揺れるものであり、その落差が逆に時代批評として響く。
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