「年寄はね、何でも自分の若い時の生計を覚えて居て、同年輩の今の若いものも、万事自分のして来た通りにしなければならない様に考える」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「年寄はね、何でも自分の若い時の生計を覚えて居て、同年輩の今の若いものも、万事自分のして来た通りにしなければならない様に考える」
解説
この言葉は、年長者は自分の若い頃の経験や生活様式を基準にして、現代の若者にも同じやり方を求めがちであるという人間心理を指摘している。ここでいう「生計」は単に生活費のやりくりだけでなく、暮らし方や価値観全般を含む。漱石は、年長者が無意識のうちに過去の経験を絶対視し、時代や環境の変化を軽視する傾向を批判している。
明治期は急速な近代化の時代であり、生活水準、職業、教育制度が大きく変わっていた。しかし、年長世代の中には、自分の経験則を唯一の正解とみなし、若者に押し付ける態度を取る者も多かった。漱石は、この姿勢が世代間の摩擦を生み、時代の進歩を阻害する可能性を見抜いていた。
現代においても、この現象は職場での古いやり方の強制や、家庭内での価値観の押し付けとして見られる。特に技術や社会構造が急変する時代では、過去の成功体験が必ずしも現在に通用しないことが多い。漱石のこの言葉は、世代間の理解と柔軟な価値観の必要性を鋭く示している。
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