「凡ての道徳の出立点は社会的事実より外にない」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「凡ての道徳の出立点は社会的事実より外にない」
解説
この言葉は、道徳の基盤は抽象的理念や宗教的教義ではなく、現実に存在する社会的事実に根ざしているという漱石の考えを示している。つまり、人間社会における生活習慣、慣行、制度、経験といった具体的な事実こそが道徳の出発点であり、そこから規範や価値観が形成されるという立場である。
この背景には、漱石が西洋哲学や社会学から受けた影響がある。近代思想では、道徳を普遍的・形而上的な原理から説明する立場と、社会的現実から生じるものとする立場があった。漱石は後者に傾き、道徳は生きた社会の中で経験的に形成されるものであり、時代や文化によって変化すると考えていた。
現代においても、この視点は重要である。グローバル化や価値観の多様化が進む中で、道徳を一律に定義することは難しいが、社会の現実や文化的背景を踏まえて理解することは不可欠である。漱石のこの言葉は、道徳を現実社会の中で検証し、更新していく柔軟な姿勢の必要性を端的に表している。
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