「凡て人間の研究と云うものは自己を研究するのである。天地と云い山川と云い日月と云い星辰と云うも皆自己の異名に過ぎぬ」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「凡て人間の研究と云うものは自己を研究するのである。天地と云い山川と云い日月と云い星辰と云うも皆自己の異名に過ぎぬ」
解説
この言葉は、あらゆる人間の探求や学問の究極は、自己の理解に行き着くという漱石の思想を示している。「天地」「山川」「日月」「星辰」といった自然や宇宙の対象も、突き詰めればそれを認識し解釈するのは人間自身であり、外界の研究は自己という主体を通じた自己探求に他ならないと述べている。
この背景には、漱石が東洋哲学と西洋哲学の双方から影響を受けていたことがある。仏教や儒教には「万物は心の現れ」という思想があり、西洋哲学にも認識主体の重要性を説く観念論が存在する。漱石はこれらを踏まえ、自然や宇宙を知ることは、結局はそれを見つめる自分自身を知ることだと考えていた。
現代においても、この視点は意味を持つ。科学的探求や芸術表現で外界を扱っていても、その選択や解釈は主体の価値観や経験に依存する。漱石のこの言葉は、どのような学問や研究も、最終的には自己理解という核心に回帰するという普遍的な真理を端的に表している。
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