「進んで止まる事を知らない科学は、かつて我々に止まる事を許して呉れた事がない」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「進んで止まる事を知らない科学は、かつて我々に止まる事を許して呉れた事がない」
解説
この言葉は、科学の発展が止まることを知らず、その結果として人間社会も立ち止まることを許されない状況に置かれているという漱石の認識を示している。科学は常に新しい発見や技術を生み出し、それが生活や社会構造を変化させ続けるため、人間はその変化に適応し続けざるを得ない。漱石は、科学の進歩が人間の休息や安定を奪う側面に注目している。
この背景には、明治期の日本が急速な近代化と西洋科学技術の導入を進めていた時代状況がある。鉄道、電信、機械化などの発展は生活を便利にする一方で、社会を常に変化と競争の中に置き、人々に精神的な安息を与えなかった。漱石は、科学の恩恵と引き換えに失われる「止まる自由」を問題視していた。
現代においても、この指摘は鋭い。インターネットやAI、通信技術の発展は便利さをもたらすが、情報過多や絶え間ない変化が人々を休ませない構造を作り出している。漱石のこの言葉は、科学の進歩を享受しつつも、そのスピードと圧力に呑み込まれないための視点を与えてくれる。
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