「社会はただ新聞紙の記事を信じている」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「社会はただ新聞紙の記事を信じている」
解説
この言葉は、多くの人々が社会の出来事や事実を、自らの体験や検証ではなく、報道によってのみ判断しているという批判を表している。漱石は、新聞記事が事実を伝える重要な役割を担う一方で、そこに偏向や誤解、誇張が含まれる可能性があることを踏まえ、報道を唯一の真実として受け入れる社会の姿勢に疑問を投げかけている。
この背景には、明治期の日本で新聞メディアが急速に普及し、世論形成に強い影響力を持ち始めた時代状況がある。当時、新聞は情報の主要な供給源であったが、その内容は政治的立場や商業的目的によって左右されることも多かった。漱石は、社会が自ら考える力を失い、報道に依存する危うさを感じ取っていた。
現代においても、この指摘は依然として有効である。SNSやオンラインニュースが情報源の中心となった今でも、多くの人が一次情報や現場の事実を確かめず、メディアが伝える内容をそのまま信じてしまう傾向がある。漱石のこの言葉は、情報の受け手として批判的思考を持つ重要性を鋭く突いたものである。
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