「子を知るは親に若かずと云う。それは間違っている。御互に喰い違って居らぬ世界の事は親と雖ども唐、天竺である」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「子を知るは親に若かずと云う。それは間違っている。御互に喰い違って居らぬ世界の事は親と雖ども唐、天竺である」
解説
この言葉は、「親は子をよく理解している」という一般的な言い回しへの反論である。「子を知るは親に若かず」は、古来から「子どもを知るのは親が一番」という意味で使われるが、ここではそれが誤りであると断言している。
理由として述べられているのが、「御互に喰い違って居らぬ世界」という表現である。これは、親と子の生活領域や価値観が一致しない部分、つまり互いに体験しない・共有しない領域のことを指している。そうした領域は、たとえ親であっても「唐や天竺」(遠く異国の地)のように、全く未知で理解不能な世界であるという比喩である。
この考え方は、現代においても世代間の価値観の隔たりや、個人の内面世界の不可侵性に通じる。親の経験や愛情があっても、子どもの精神世界や人間関係の一部は本人にしかわからないという事実を鋭く突いた言葉である。
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