「元来人間は締りのないものだから、はっきりした事はいくら自分の身の上だって、斯うだとは云い切れない」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「元来人間は締りのないものだから、はっきりした事はいくら自分の身の上だって、斯うだとは云い切れない」
解説
この言葉は、人間存在のあいまいさと不確かさを指摘している。人は理性や記憶によって自分を理解しているつもりでも、感情や状況によって判断や行動が変化しやすく、一貫した固定的な存在ではないという認識が根底にある。したがって、たとえ自分自身のことであっても「必ずこうだ」と断定することは難しいのだ。
歴史的に見ても、このような人間観は多くの思想家に共有されてきた。モンテーニュは「私は自分自身のことを他人のように知らない」と述べ、漱石自身も作品の中で人間心理の移ろいやすさを繰り返し描いている。人間は状況や時間の経過によって変化する存在であり、そのために自己理解すら不完全にならざるを得ない。
現代においても、この洞察は有効である。キャリアの選択や人間関係の判断において、自分の価値観や考え方が後から変わることは珍しくない。この言葉は、自分や他人を過度に固定化せず、変化を前提に理解する柔軟さを持つべきだという教訓を含んでいる。
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