「元来意見があって、人がそれに則るのじゃない。人があって、其人に適した様な意見が出て来るのだ」

夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
夏目漱石の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
  • 日本出身
  • 小説家、評論家、英文学者

原文

「元来意見があって、人がそれに則るのじゃない。人があって、其人に適した様な意見が出て来るのだ」

解説

この言葉は、人と意見の関係を逆転的に捉えた洞察である。一般には「正しい意見や原理が先にあり、人はそれに従うべきだ」と考えられがちだが、ここではむしろ、意見は人間そのものの性格や立場、経験から自然に生まれると述べている。つまり、意見は普遍的に存在する固定的な真理ではなく、個人の内面や背景の反映だという見方である。

歴史的にも、思想や主張はその人の生まれた時代・環境・社会的立場と密接に結びついてきた。例えば政治家や哲学者の理念も、しばしば彼らの境遇や性格に影響されて形成されている。これを理解すると、「意見の違い」は単なる正誤の問題ではなく、人そのものの違いであることが見えてくる。

現代においても、この視点は重要である。SNSやメディアで多様な意見が飛び交う時代、相手の背景を知らずに言葉だけで判断すると衝突が起こりやすい。この言葉は、意見を見るときには、その背後にいる人間を理解する姿勢が欠かせないことを教えている。

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