「夫の怒を利用して、自分の優越に誇ろうとする相手は残酷じゃないか。君、女は腕力に訴える男より遙に残酷なものだよ」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「夫の怒を利用して、自分の優越に誇ろうとする相手は残酷じゃないか。君、女は腕力に訴える男より遙に残酷なものだよ」
解説
この言葉は、相手の怒りを逆手に取り、自分の優位性を示そうとする行為の残酷さを指摘している。さらに、腕力という物理的手段で優位に立とうとする男よりも、感情や心理を巧みに利用する女の方が、場合によってはより残酷であると述べている。ここでの「残酷」とは、肉体的な暴力ではなく、精神的な打撃を与える冷酷さを意味する。
背景には、夏目漱石の男女関係や心理戦に対する洞察がある。明治期の社会は男女の力関係が非対称で、男性優位が制度的に保証されていたが、家庭内や私的な関係においては、女性が感情的・心理的な優位を取ることもあった。漱石はその側面を、冷徹かつ風刺的に描き出している。
現代においても、この視点は人間関係における精神的支配や感情操作に通じる。言葉や態度を用いて相手の感情を煽り、その反応を利用して立場を固める行為は、肉体的暴力以上に深い傷を残すことがある。この言葉は、力の行使が必ずしも物理的でないこと、そして心理的優位が時により危険であることを警告している。
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