「恐れないのが詩人の特色で、恐れるのが哲人の運命である」

- 1867年2月9日~1916年12月9日(49歳没)
- 日本出身
- 小説家、評論家、英文学者
原文
「恐れないのが詩人の特色で、恐れるのが哲人の運命である」
解説
この言葉は、詩人は感情や直感に従って恐れずに表現する一方、哲人は理性による思索を深めるがゆえに、世界や人間の限界を悟って恐れを抱くという、創造者と思想家の性質の対比を述べている。詩人の「恐れない」は自由な感性と大胆さを、哲人の「恐れる」は知の探究によって直面する真理や未知への畏怖を意味している。
背景には、夏目漱石の文学者としての自己認識と哲学への距離感がある。漱石は文学と哲学の双方に通じていたが、文学は感情の解放や創造性を重視し、哲学は論理と洞察によって人間存在の限界や不安を直視する営みであると考えていた。この言葉は、両者の方法論と精神の在り方を鮮やかに対照している。
現代においても、この視点は芸術家と研究者の心理の違いに通じる。芸術家は直感と情熱で新しい表現を切り開き、研究者は知の探求の果てに複雑な問題や答えのない問いに直面する。恐れなさと恐れの両方が、人類の知と文化を発展させる原動力であるという洞察は、今も有効である。
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