「幸福を言葉で描写することは、それを減じることである」

- 1783年1月23日~1842年3月23日(59歳没)
- フランス出身
- 小説家、評論家
英文
”To describe happiness is to diminish it”
日本語訳
「幸福を言葉で描写することは、それを減じることである」
解説
この言葉は、幸福の本質が言葉によって完全には表現できないという洞察を示している。幸福はしばしば瞬間的で感覚的な体験であり、それを言語化しようとすると、抽象化や理性化によって感情の鮮烈さが薄れてしまう。スタンダールは、幸福は感じるものであって、分析や説明の対象にすると、その生き生きとした輝きを失うと考えている。
この発想の背景には、19世紀ロマン主義の感情至上主義がある。当時の文学では、強烈な感情は直接的に体験されるべきものであり、理性や言葉を通すとその価値が損なわれるとされた。スタンダールは心理描写の名手でありながら、幸福そのものの描写には慎重で、言葉にした途端にそれが現実から乖離する危険性を理解していた。
現代においても、この考えは多くの場面に当てはまる。例えば、特別な瞬間や深い感動を写真や文章で記録しようとしても、そのときの空気感や心の高鳴りを完全に再現することはできない。この言葉は、幸福は言葉よりも体験そのものに価値があり、記述ではなく生きることによって最も輝くという真理を伝えている。
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