「私が関係を持ったどの女性も、新しく耳にした音楽の一節が与えてくれた瞬間ほど甘美で、しかもこれほど安価な代償で得られる瞬間を与えてくれたことはないと思う」

- 1783年1月23日~1842年3月23日(59歳没)
- フランス出身
- 小説家、評論家
英文
”I think no woman I have had ever gave me so sweet a moment, or at so light a price, as the moment I owe to a newly heard musical phrase”
日本語訳
「私が関係を持ったどの女性も、新しく耳にした音楽の一節が与えてくれた瞬間ほど甘美で、しかもこれほど安価な代償で得られる瞬間を与えてくれたことはないと思う」
解説
この言葉は、芸術的感動が恋愛の快楽を超える瞬間があるという、極めて個人的かつ大胆な価値観を表している。ここでの「newly heard musical phrase(新しく耳にした音楽の一節)」は、予期せぬ形で訪れる音楽的な啓示や美の発見を指す。それは、恋愛関係がもたらす喜びよりも、純粋で持続的な幸福感を与えることがあると述べている。
この発想の背景には、19世紀ロマン主義における芸術至上主義の傾向がある。当時の教養人や芸術愛好家にとって、音楽や文学は恋愛と同等かそれ以上に人生を豊かにするものであった。スタンダールは恋愛小説家でありながらも、肉体的・感情的快楽よりも精神的・美的感動を高く評価する側面を持っており、この言葉はその価値観を端的に示している。
現代においても、この感覚は理解できる人が多いだろう。例えば、コンサートで聴いた一節や映画音楽の瞬間が、何年経っても鮮明に記憶されることがある。それは金銭的な負担も少なく、誰の所有物にもならない純粋な体験である。この言葉は、芸術の感動は時に恋愛以上に心を満たし、しかも自由であるという普遍的な真理を語っている。
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