「輿論は常に私刑であり、私刑はまた常に娯楽である。たといピストルを用うる代りに新聞の記事を用いたとしても」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「輿論は常に私刑であり、私刑はまた常に娯楽である。たといピストルを用うる代りに新聞の記事を用いたとしても」
解説
この名言において芥川は、大衆の輿論が本質的に暴力的性格を帯びており、それがしばしば娯楽として消費されているという冷徹な認識を示している。「私刑」とは、法的手続きを経ない私的な処罰を意味し、ここでは感情的・無責任な集団の攻撃を指す。
芥川は、現代社会においてピストルの代わりとなるのが「新聞の記事」であると述べている。この一文は、メディアや言論が道徳的制裁の手段として使われ、それが大衆に快感を与える「娯楽」と化していることを批判している。名指しこそされていないが、これは当時の新聞報道の過熱ぶりや、スキャンダルを求める読者心理への鋭い風刺でもある。
この視点は、現代のSNS社会にも通じる。バッシングや炎上に集団が群がる構図は、正義の仮面をかぶった娯楽的私刑の現代版といえる。芥川の言葉は、私たち自身が「輿論」という暴力に加担していないかを省みさせる鏡となっている。
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