「人生は地獄よりも地獄的である」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「人生は地獄よりも地獄的である」
解説
この名言は、芥川龍之介の極限まで突き詰められた厭世観と絶望的な人生観を象徴する一文である。「地獄」とは本来、宗教的に最も苛烈で苦しみに満ちた場所であるはずだが、芥川はそれをさらに上回るものとして「人生」を位置づけている。すなわち、人生とはただ苦しいだけではなく、理解不能で、救済もなく、果ての見えない苦悩が続く存在であるという、深く沈んだ認識がここにはある。
この言葉は、芥川の晩年の精神状態を如実に物語っている。彼は自らの死の前年に遺書とも言える『或旧友へ送る手記』を残し、その中で「ぼんやりとした不安」に苛まれていることを記している。彼にとって人生とは、明確な絶望ですらなく、不条理で説明のつかない「地獄以上の曖昧な苦しみ」だったのだ。そのような苦痛こそが、彼を死へと追いやった最大の要因でもある。
現代においても、この言葉は人生の理不尽さや、生きることの苦しさに直面した人々の心に共鳴する。宗教的地獄には構造や意味があるかもしれないが、現実の人生にはそれすらもないと感じるとき、人は「地獄よりも地獄的」と形容せざるをえない。芥川のこの名言は、苦悩の深さを誰よりも見つめ、なおかつ文学として昇華させた作家の、最も重い告白の一つである。
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