「風のなびいたマッチの炎ほど無気味にも美しい青いろはない」

芥川龍之介の名言・格言・警句(画像はイメージです)
芥川龍之介の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1892年3月1日~1927年7月24日
  • 日本出身
  • 小説家、評論家

原文

「風のなびいたマッチの炎ほど無気味にも美しい青いろはない」

解説

この名言は、美しさと不気味さが同居する瞬間的な現象に対する芥川の鋭い感性を表現している。マッチの炎が風に揺れるとき、通常の赤や橙ではなく、一瞬だけ現れる青白い光がある。それは確かに幻想的でありながら、どこか死や不吉さを想起させる色合いでもある。芥川は、その色に魅了されると同時に、そこに潜む異質さや不穏さを見逃さない

このような視点は、芥川の文学に繰り返し現れる「美と不安」「静と狂気」の同時性をよく表している。彼は自然や日常の些細な現象の中に、死や狂気の影を見出す鋭敏な感受性を持っていた。風に揺らぐ炎というわずか数秒の出来事に、視覚的な美と心理的な恐怖を重ね合わせる発想は、まさに芥川らしい詩的直観である。

現代においても、この名言は印象深く響く。たとえば、都市のネオン、科学実験の炎、あるいは映像作品における冷たい青の照明など、青白い光は今も「美」と「恐怖」の象徴として使われることが多い。芥川のこの言葉は、人間の本能的な感覚に訴える色彩の力と、それに対する美的感受性の深さを示すものであり、読む者の心にもひそやかな震えを残すのである。

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