「革命に革命を重ねたとしても、我々人間の生活は『選ばれたる少数』を除きさえすれば、いつも暗澹としているはずである。しかも『選ばれたる少数』とは『阿呆と悪党と』の異名に過ぎない」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「革命に革命を重ねたとしても、我々人間の生活は『選ばれたる少数』を除きさえすれば、いつも暗澹としているはずである。しかも『選ばれたる少数』とは『阿呆と悪党と』の異名に過ぎない」
解説
この名言は、革命や社会変革に対する深い虚無感と冷笑的な洞察を表現している。芥川は、いかなる革命が繰り返されても、大多数の人々の暮らしが根本的に改善されることはないという厳しい現実を見据えている。さらに、表面的には「選ばれた少数」とされる勝者や支配層も、実際には愚者(阿呆)か悪人(悪党)であることが多いと断じており、権力構造への深い不信を示している。
この言葉は、芥川が生きた大正末期から昭和初期の政治的混乱と社会不安を背景にしている。ロシア革命や日本国内の大正デモクラシーの動きなど、急進的な改革がもたらす希望と、その背後に潜む暴力や欺瞞を、芥川は冷静に観察していた。彼は理想主義的な革命観を信じるよりも、人間の本質的な愚かしさや欲望によって繰り返される権力の腐敗に注目していたのである。
現代においてもこの言葉は通用する。社会運動や体制変革が話題となるたびに、改革の果実を享受するのは一部の特権層であり、多くの人々の生活は依然として困難に満ちているという現実が存在する。また、権力者や指導者が本当に有能で高潔な存在であるかどうかは常に疑わしく、制度が変わっても人間の欲望や愚かさは変わらないという芥川の悲観的認識は、今も鋭い警鐘として響いている。
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