「女は女自身、男と生理的及び心理的に違っている点を強調することによってのみ、世の中の仕事に加わる資格ができると思う」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「女は女自身、男と生理的及び心理的に違っている点を強調することによってのみ、世の中の仕事に加わる資格ができると思う」
解説
この名言は、女性が社会的役割を果たすためには、男性との違いを否定するのではなく、むしろ肯定的に打ち出すべきだという芥川の見解を表している。つまり、女性が社会に進出する際に「男と同じになること」を目指すのではなく、女性ならではの身体的・心理的特質を活かすことによって独自の存在価値を持つべきだと説いているのである。
この発言は、芥川が生きた大正期という時代背景を踏まえると、特異な視点を示している。当時はまだ女性の社会進出が始まったばかりであり、女性が「男性の模倣者」としてではなく、独立した個として評価される機会は限られていた。その中で芥川は、女性の内面的特質や役割を尊重しつつ、社会的にも積極的に参加することの意義を認めていたのである。これは決して性差別的視点ではなく、差異を価値として受け入れる姿勢と理解すべきである。
現代においても、この発言は再考に値する。ジェンダー平等が推進される一方で、「同質性」だけを強調する議論が先行する中、芥川のこの言葉は、多様性と個性を活かすという意味での本来のフェミニズム的視点を提供している。違いを力に変え、社会に貢献するという思想は、今なお普遍的な価値を持っている。
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