「大いなる民衆は滅びない。あらゆる芸術は形を変えても、必ずそのうちから生まれるであろう」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「大いなる民衆は滅びない。あらゆる芸術は形を変えても、必ずそのうちから生まれるであろう」
解説
この名言は、民衆という存在の不滅性と、その内に秘めた創造の源泉としての力を称えたものである。芥川は、芸術がどのように時代や様式を変えようとも、その根底には常に民衆の生活、感情、願いがあるという真理を語っている。民衆は歴史のなかで抑圧され、軽んじられることがあっても、芸術の母体として常に新たな生命を育む土壌であるとされている。
この考えは、芥川が知識階級出身でありながらも、文学において大衆の感情や言語、風俗への鋭い関心を持っていたことを示している。彼の時代、大正から昭和初期にかけては、階級社会の緊張とともに、民衆文化や庶民的感覚が芸術の中に強く流れ込み始めた時期であった。芥川はそれを単なる俗化ではなく、新しい創造のエネルギーと捉えていた。
現代においてもこの言葉は重要な意義を持つ。芸術はエリートや専門家だけのものではなく、多様な人々の声や経験、文化が交差する場から生まれる。SNSやストリートアート、ポピュラーミュージックなど、いずれも民衆の中から立ち上がった表現である。芥川のこの名言は、芸術の未来は常に「大いなる民衆」の中にあり、そこから何度でも再生するという希望と確信を語っているのである。
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