「いかに都会を愛するか?ーー過去の多い女を愛するように」

- 1892年3月1日~1927年7月24日
- 日本出身
- 小説家、評論家
原文
「いかに都会を愛するか?ーー過去の多い女を愛するように」
解説
この名言は、都会という存在の本質的な魅力と複雑さを、「過去の多い女」という大胆かつ詩的な比喩で語っている。芥川は、都会への愛情とは単なる便利さや刺激への憧れではなく、多くの歴史や記憶を背負った存在への愛であると示唆している。都会の雑踏や喧騒、美と醜、栄光と退廃――それら全てが「過去」として折り重なっている。
この表現には、退廃美や官能的な哀愁に対する芥川の美学的志向が色濃く反映されている。大正時代の東京は、文明開化とともに急速に西洋化しつつも、江戸の残り香を残す歴史都市であった。芥川はその混沌とした都市の魅力を、単なる機能ではなく、過去の積層として受け止める感性を持っていた。その点において、この名言は彼自身の都会観そのものである。
現代においても、ニューヨークやパリ、東京のような大都市は、華やかさの裏に傷跡や記憶を抱えている。人がそれを愛するとは、その過去を赦し、受け入れ、時に酔うことを意味する。芥川のこの言葉は、都会という空間に対する成熟した、官能的で複雑な愛の形を描き出しているのである。
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