「女君は、年齢を少し過ぎていらっしゃるのに、とても若々しくいらっしゃるので、ふさわしくなくて恥ずかしいと感じている」

紫式部の名言(画像はイメージです)
紫式部の名言(画像はイメージです)
  • 970-980年頃?~1014-1031年頃?(諸説あり)
  • 日本出身
  • 作家、歌人

原文

「女君は、すこし過ぐしたまへるほどに、いと若うおはすれば、似げなく恥づかし、と思いたり」

現代語訳

「女君は、年齢を少し過ぎていらっしゃるのに、とても若々しくいらっしゃるので、ふさわしくなくて恥ずかしいと感じている」

解説

この言葉は、年齢と外見や雰囲気との不一致に対する感情を表している。紫式部の生きた平安時代は、年齢や身分に応じた振る舞いや装いが重視された社会であり、過ぎた若々しさは必ずしも称賛の対象ではなく、場合によっては慎みの欠如と見られることもあった。ここで示される「恥づかし」は、現代でいう「気恥ずかしい」「場違いな感じ」というニュアンスに近い。

現代においては、若さを保つことはポジティブに受け取られることが多い。しかし、この言葉は「社会的な役割や立場にふさわしい態度」を考える重要性を示唆している。たとえば、職場や公的な場で、立場に見合わない服装や言動をした場合、本人は良かれと思っていても、周囲には違和感を与えることがある。この名言は、外見と社会的期待のバランスというテーマを浮き彫りにしている。

また、この表現は、自己認識と他者の視線との間で生じる心理的葛藤にもつながる。現代では「年齢を重ねても若々しく」という価値観が広がっている一方で、「年齢相応」という意識も根強く残っている。この言葉は、そうした価値観の狭間で揺れる感情を先取りしたものといえ、美意識と社会的役割の調和という普遍的な課題を今に伝えているのである。

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