「世間並みに見るにはとがめるところはないけれど、自分のものとして心から頼れる相手を選ぼうとすると、多くいる中でもなかなか決められないものです」

- 970-980年頃?~1014-1031年頃?(諸説あり)
- 日本出身
- 作家、歌人
原文
「おほかたの世につけてみるには咎なきも、わがものとうち頼むべきを選らんに、多かる中にもえなん思ひ定むまじかりける」
現代語訳
「世間並みに見るにはとがめるところはないけれど、自分のものとして心から頼れる相手を選ぼうとすると、多くいる中でもなかなか決められないものです」
解説
この言葉は、人を見極める難しさを率直に述べている。紫式部の時代、平安貴族社会では、結婚や恋愛、交際相手の選定は身分や家柄だけでなく、信頼と誠実さが大きな価値を持っていた。表面上は非の打ち所がなくても、真に頼れる人物かどうかは容易に判断できないという現実は、当時の女性にとって切実な問題であった。
現代社会においても、この言葉は人間関係やパートナー選びの本質を突いている。SNSや職場での人間関係、婚活や恋愛において、多くの人と出会える時代になったものの、「信頼できる人」を見つける難しさは変わらない。むしろ、情報過多の現代では、表面の印象と内面のギャップがより大きな問題となりやすい。この名言は、その普遍的な困難を鮮やかに表現している。
さらに、この言葉は慎重さの重要性と、選択に伴う葛藤を示唆している。人を選ぶという行為は、単に好みや条件だけではなく、価値観や人生観を共有できるかどうかの判断を含む。この名言は、安易に決めず、信頼を軸に選ぶべきだという考え方を伝え、今なお人間関係の指針として有効である。
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