「世界を理性的に見る者に対して、世界もまた理性的な姿を示す。その関係は相互的である」

- 1770年8月27日~1831年11月14日
- ドイツ出身
- 哲学者、観念論の体系化者、弁証法と歴史哲学の提唱者
英文
“To him who looks upon the world rationally, the world in its turn presents a rational aspect. The relation is mutual.”
日本語訳
「世界を理性的に見る者に対して、世界もまた理性的な姿を示す。その関係は相互的である」
解説
この言葉は、人間の認識と世界の本質が相互に影響し合うというヘーゲル哲学の核心を表している。彼の思想では、世界は単なる外的現象の集合ではなく、理性によって理解されうる秩序を内包する全体性である。そして、その理性は観察者の側にも存在する。理性をもって世界を捉えようとする主体に対して、世界もまたその理性に応答するように秩序ある姿を見せるというのがこの命題の意図である。
この相互関係は、人間が世界に意味を見出す過程において、主体と客体の間に境界がないことを示唆する。つまり、観察者の態度や視点が、世界の現れ方に影響を及ぼすという点で、人間と世界は弁証法的な関係にある。理性に満ちた観察は、世界の中に潜む理性的構造を明るみに出す一方、非理性的な観方では、世界もまた無秩序に見える。
現代の科学や社会認識にも応用可能な考えである。たとえば、偏見に満ちた視点で社会を見れば混乱や敵意しか見えないが、合理的な思考をもって分析すれば、背後にある法則や因果を発見できる。人間の思考の枠組みが世界を形成するという点で、この言葉は世界との関係の築き方に対する哲学的な指針を与えるものである。
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