「単なる善良さでは、自然の力に対してほとんど何も成し得ない」

- 1770年8月27日~1831年11月14日
- ドイツ出身
- 哲学者、観念論の体系化者、弁証法と歴史哲学の提唱者
英文
“Mere goodness can achieve little against the power of nature.”
日本語訳
「単なる善良さでは、自然の力に対してほとんど何も成し得ない」
解説
この言葉は、自然の圧倒的な力の前では、人間の道徳的善意だけでは無力であるという現実的な洞察を示している。ヘーゲルにとって「自然」とは、物理的世界だけでなく、理性によって制御されていない本能的・無秩序な領域をも意味する。そのため、単なる善意や人間性への信頼は、しばしば自然の現実や本質的な力には通用しない。
彼の弁証法的思考においては、歴史や倫理、制度の発展は理性による「自然の超克」を含意する。つまり、人間は自然に対抗するために、理性・制度・意志といったより高次の原理に基づいて行動すべきであるとされる。ただ善良であるだけでは、自然災害、疾病、暴力などの自然的・非理性的な力に対して太刀打ちできない。
現代にも通じる教訓である。たとえば、気候変動への対応やパンデミックへの備えにおいて、善意や道徳的態度だけでは不十分であり、科学的知見、制度的対応、集団的行動といった現実的かつ合理的な力の総動員が不可欠である。善良さは重要ではあるが、それだけでは自然の無慈悲さに対抗しえないという警句である。
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