「私は握手が嫌いだ──そこに人全体の誠意が伴わないかぎりは」

ラルフ・ワルド・エマーソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1803年5月25日~1882年4月27日
  • アメリカ合衆国出身
  • 哲学者、随筆家、詩人、超越主義運動の指導者

英文

“I hate the giving of the hand unless the whole man accompanies it.”

日本語訳

「私は握手が嫌いだ──そこに人全体の誠意が伴わないかぎりは」

解説

この名言は、形式的な礼儀や儀礼に対して、中身の伴わない空虚さを強く批判するエマーソンの精神を示している。「the giving of the hand(握手)」は社交的な挨拶の代表として用いられており、ここでは見せかけの友好や愛想の象徴である。それに対して「unless the whole man accompanies it(人全体の誠意が伴わないかぎり)」という条件は、真の人間関係には魂と人格の全体がこもっていなければ意味がないという信念を語っている。

エマーソンは超越主義者として、外面的な行動よりも内面的な真実と誠実さを重視した思想家である。彼にとって人間関係とは、儀礼や慣習によって築かれるものではなく、魂と魂の真摯な接触によって生まれるものである。そのため、どれほど礼儀正しく振る舞っても、内心がともなわないならば、それは偽善であり虚飾にすぎないと考えた。

現代においてもこの名言は、表面的な人間関係に満ちた社会のなかで、本物の誠実さをどこに求めるべきかという重要な問いを投げかける。SNSでの「いいね」や形式的な挨拶が常態化する中で、本当の意味で他者と心を通わせる行為はどれだけあるのか。エマーソンのこの言葉は、形式ではなく心の全体性こそが、真の関係の証であるという厳粛な倫理的姿勢を明示している。

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