「奴隷制を廃止しなければならないと思う。さもなければ、自由そのものを捨てねばならない」

ラルフ・ワルド・エマーソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1803年5月25日~1882年4月27日
  • アメリカ合衆国出身
  • 哲学者、随筆家、詩人、超越主義運動の指導者

英文

“I think we must get rid of slavery, or we must get rid of freedom.”

日本語訳

「奴隷制を廃止しなければならないと思う。さもなければ、自由そのものを捨てねばならない」

解説

この名言は、奴隷制度の存在が、自由という理念と本質的に両立しないというエマーソンの鋭い道徳的論断を表している。彼は、自由を掲げる国家や社会がその一方で人を奴隷として扱うという矛盾を容認することはできず、その両立は論理的にも倫理的にも不可能であると断言している。「自由を保つには、奴隷制を捨てよ」という命題は、正義と制度の根本的な選択を迫る強いメッセージである。

この言葉は、19世紀アメリカにおける奴隷制度廃止運動と深く関係しており、エマーソン自身も反奴隷制の立場から道徳的演説を繰り返した思想家である。彼の超越主義は、すべての人間に内在する神性と自由を尊重する哲学であり、奴隷制の存在はその哲学の根幹を否定するものとみなされた。この名言は、政治的、社会的妥協ではなく、倫理的原理に基づく決断を求める警鐘でもある。

現代においてもこの言葉は、自由と抑圧、平等と差別の問題に向き合う上での道徳的基準を提示する。たとえば、人権や民主主義を語る社会が、同時に不平等や搾取の構造を放置することは、理念と現実の重大な乖離を意味する。エマーソンのこの名言は、自由を掲げる以上、その対極にある不正を見過ごしてはならないという、時代を超えた倫理的宣言である。

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