「焼かれたすべての書物は、世界を啓発する」

ラルフ・ワルド・エマーソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1803年5月25日~1882年4月27日
  • アメリカ合衆国出身
  • 哲学者、随筆家、詩人、超越主義運動の指導者

英文

“Every burned book enlightens the world.”

日本語訳

「焼かれたすべての書物は、世界を啓発する」

解説

この名言は、書物の焚書という行為の中に潜む逆説的な真理を鋭く表現している。焚書とは通常、思想の統制や検閲、自由の抑圧を象徴する行為である。しかしエマーソンは、それによってかえってその書物が持つ価値が浮き彫りとなり、思想の力と危険性を証明することになると述べている。つまり、抹殺されようとした知が、それゆえにより強く光を放つのである。

19世紀のアメリカでは、まだ言論の自由や出版の自由が確立されつつある段階であり、エマーソンは常に思想と言論の独立性を擁護した。焚書や検閲は一時的には支配者の力を強めるかもしれないが、真理を消すことはできないという信念が、この言葉には込められている。焼かれた書は、沈黙の中で世界に問いを投げかける。

現代においてもこの名言は重要な意味を持つ。独裁政権下や宗教的抑圧のもとで、書物が焚かれ、知識や表現が制限される事例は今なお存在する。しかしそのたびに、「なぜその書が恐れられたのか」という問いが生まれ、かえってその内容が広まり、人々の意識を覚醒させる。知の抑圧は、知の重要性そのものを逆説的に証明する。この名言は、自由と知識がいかに強靭なものであるかを語る普遍的な真理である。

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