「私たちがあらゆる学びを忘れたときにこそ、本当に知り始める」

• 1817年7月12日～1862年5月6日
• アメリカ合衆国出身
• 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者

英文

“It is only when we forget all our learning that we begin to know.”

日本語訳

「私たちがあらゆる学びを忘れたときにこそ、本当に知り始める」

解説

この言葉は、既成の知識や固定観念を捨てることで、真の理解や気づきに至るという逆説的な真理を表している。ソローは、教育や知識の蓄積が必ずしも「知ること」に直結しないと考えていた。むしろ、頭でっかちの知識が先入観や思い込みとなり、世界をありのままに見る力を妨げることがある。彼にとって、「知る」とは、直接的な経験や直感に根ざした、生きた理解を意味していた。

この思想は、ソローが自然の中での生活を通じて体得したものである。彼は、書物や制度に頼らず、自然や沈黙、観察といった体験から得られる知恵を重視した。この言葉は、彼が知識の限界と、それを超えたところにある「本当の知」との接触を目指していたことを物語る。

現代においても、情報が過剰に流通する中で、知識がかえって判断力や直感を鈍らせることがある。この言葉は、一度あらゆる知識を手放してみることで、物事の本質に出会えるという深い示唆を与えてくれる。知るとは、単に蓄積することではなく、むしろ心を空にして世界と向き合うことに始まるのだと、ソローは教えている。

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