「今日のアメリカ政府に対して人間はいかに振る舞うべきか?私の答えは、恥を受けずにそれに関わることはできない、というものである」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“How does it become a man to behave towards the American government today? I answer, that he cannot without disgrace be associated with it.”
日本語訳
「今日のアメリカ政府に対して人間はいかに振る舞うべきか?私の答えは、恥を受けずにそれに関わることはできない、というものである」
解説
この名言は、国家と個人の良心との関係を厳しく問い直す、ソローの政治的かつ倫理的な声明である。彼は、アメリカ政府が奴隷制度を維持し、メキシコ戦争といった不正な政策を推進していたことに強い憤りを感じており、そのような政府に加担すること自体が道徳的堕落であると断じた。これは『市民の反抗(Civil Disobedience)』の核心部分にあたる思想である。
ソローはここで、政府に対する無批判な従属ではなく、個人の良心に従って行動することが真の市民の責任であると主張している。政府の不正義に黙って従うことは、沈黙による共犯に等しいと見なし、自らも納税を拒否して投獄される覚悟をもって抗議した。彼にとって、正義は法よりも上位にある倫理的な原則であり、それを貫くことが人間としての尊厳に他ならなかった。
この名言は、現代においてもきわめて鋭い問いを投げかける。国家や組織が不正を犯しているとき、個人はいかに行動すべきかという問題は普遍的である。この言葉は、ただ従うのではなく、良心によって判断し行動する勇気を持てと促している。名誉ある市民とは、権力に盲従する者ではなく、不正に対して立ち上がる者である――それがソローの静かで断固たる答えである。
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