「法律を尊重することよりも、正義を尊重することを育むべきである」

ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1817年7月12日~1862年5月6日
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者

英文

“It is not desirable to cultivate a respect for the law, so much as for the right.”

日本語訳

「法律を尊重することよりも、正義を尊重することを育むべきである」

解説

この名言は、法の形式よりも道徳的正義を重んじるべきであるという、ソローの倫理的立場を明確に示している。彼は、人がただ法律に従うだけではなく、その法が本当に正しいかどうかを内面の良心によって判断すべきだと考えていた。つまり、盲目的な法の順守ではなく、自律的な道徳判断による行動こそが人間に求められるというのである。

この思想は、ソローの『市民的不服従』に根ざしている。彼は奴隷制度を合法として維持する政府に抗議して納税を拒否し、法に反してでも良心に従う行動を選んだ。ここには、法の支配を否定するのではなく、法が正義と一致しない場合には、その法に異議を唱える勇気が必要であるという強い信念が込められている。

現代においても、この名言は鋭い問いを投げかける。たとえば、歴史上の多くの不正は、法の名のもとに正当化されてきた。差別、戦争、環境破壊などがその例である。そうした事態を防ぐには、市民一人ひとりが「何が正しいか」を自分の頭と心で考え、時には法に異を唱える倫理的勇気が不可欠である。この名言は、法律は正義の手段にすぎず、目的ではないという根本的な価値観を私たちに思い起こさせる。

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