「人間の中の野蛮さは、決して完全には根絶されない」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“The savage in man is never quite eradicated.”
日本語訳
「人間の中の野蛮さは、決して完全には根絶されない」
解説
この名言は、人間の本質に内在する野性的・暴力的な側面が、どれほど文明が進んでも完全には消え去らないという現実を指摘している。ソローは理想主義的な自然賛美者として知られる一方で、人間の内面に潜む本能的な攻撃性や自己中心性を直視していたのである。
この考えは、19世紀の超越主義的理想と現実のギャップを背景にしている。アメリカが拡大主義や産業化の名のもとに自然を破壊し、他民族を抑圧していく中で、ソローは人間の進歩には道徳的限界があると感じていた。つまり、教育や文化によって理性が磨かれても、人間の中の「野蛮」な衝動はなおも根強く存在し続けるという悲観的認識である。
この名言は現代においても有効である。戦争、差別、環境破壊など、現代人が引き起こす数々の問題は、技術的な進歩と倫理の未熟さとのあいだの矛盾を露呈している。たとえば、SNS上での誹謗中傷や集団的攻撃などは、洗練された表現手段を持ちながらも、本能的な野蛮さが変わらず現れている例である。この言葉は、人間の中にある抑えきれない側面に自覚的であることの重要性を静かに教えている。
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