「もし政府という機構が、他者に不正を行う代理人となることをあなたに求めるような性質であるならば、私は言う、法を破れ」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“If the machine of government is of such a nature that it requires you to be the agent of injustice to another, then, I say, break the law.”
日本語訳
「もし政府という機構が、他者に不正を行う代理人となることをあなたに求めるような性質であるならば、私は言う、法を破れ」
解説
この言葉は、個人の道徳的良心が国家の命令や法よりも優先されるべきであるという、ソローの市民的不服従の思想を最も力強く表現したものである。政府が制度として正義を損なうとき、それに加担することは単なる従順ではなく、不正の共犯となる。そのような場合には、法の順守よりも、正義を守ることがより高い倫理的義務となると、ソローは断言している。
この名言は、1849年に発表されたエッセイ『市民の反抗(Civil Disobedience)』に基づくものであり、奴隷制とメキシコ戦争に対するソローの強い反対姿勢が背景にある。彼は、人間が制度に盲従することで他者に害を及ぼすような仕組みに対して、良心的に立ち止まり、不服従を選ぶ勇気が必要であると説いた。これは、単なる反抗ではなく、倫理的責任に基づく行動である。
現代においてこの言葉は、不当な命令に従うことが職務とされる状況や、制度的差別、権力の乱用に対する市民の行動指針として深い示唆を与える。ソローのこの一言は、法や権威が絶対ではなく、人間の良心と正義感こそが社会を正す原動力であることを鋭く告げる名言であり、ガンディーやキング牧師などの非暴力抵抗運動の思想的礎ともなった言葉である。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?