「本ができるのは、私たち自身を私たちに明かすことだけであり、その務めを果たすたびに、私たちはその本を脇に置く」

ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ヘンリー・デイヴィッド・ソローの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1817年7月12日~1862年5月6日
  • アメリカ合衆国出身
  • 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者

英文

“Books can only reveal us to ourselves, and as often as they do us this service we lay them aside.”

日本語訳

「本ができるのは、私たち自身を私たちに明かすことだけであり、その務めを果たすたびに、私たちはその本を脇に置く」

解説

この言葉は、読書の本質的な価値とは、新しい情報を得ることではなく、自分自身をより深く理解するための鏡となることにあるという洞察を語っている。ソローは、本が本当に意味を持つのは、それが読者の内面に響き、自覚や気づきをもたらすときであると考えた。そしてその気づきが訪れた瞬間、もはや本を読み続ける必要はなくなり、むしろ行動や熟考の段階へと進むべきであると示唆している。

この名言には、知識の集積に満足してしまいがちな読書態度への静かな批判が込められている。ソローにとって、本は消費されるべき対象ではなく、自分の内面を呼び覚ます「きっかけ」であり、それ以上の価値はない。したがって、本当に力を持った本は、読者の人生や思考に変化を促し、そして役割を終えたときには静かに脇に置かれるべきものである。読書の目的が「読むこと」ではなく、「生きること」にあるという、超越主義的な読書観が鮮明に表れている

現代においてこの名言は、情報過多と読書の量を競い合うような風潮に対する重要な指針となる。多読よりも、一冊の本からどれだけ自分を深く見つめることができるか、どれだけ実生活に変化をもたらせるかが本質である。ソローのこの一言は、本を読むとは、自分自身と出会い、その出会いによって行動することだという、読書に対する深い哲学を提示する名言である

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