「人間は、自らの道具の道具になってしまった」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“Men have become the tools of their tools.”
日本語訳
「人間は、自らの道具の道具になってしまった」
解説
この言葉は、本来は人間の手段であったはずの道具や技術が、逆に人間を支配するようになっている現実を鋭く指摘している。ソローは、産業化と機械文明の進展によって、人間が物を使う存在から、物に使われる存在へと転落していると憂えていた。つまり、道具が生活を便利にするどころか、人間の生き方や価値観そのものを左右するようになったという逆転現象への警鐘である。
この名言は、19世紀中葉という技術革新の時代に発せられたにもかかわらず、現代社会においてさらに重みを増している。情報機器、SNS、AI、自動化技術などは、私たちの生活を便利にする一方で、時間、注意力、判断力までも奪い、人間性の希薄化を招いている。ソローはすでにこの時代に、道具が手段から目的へとすり替わる危険性を見抜いていたのである。
現代においてこの名言は、技術との付き合い方や人間の主体性について再考を迫る鋭い問いとして受け取ることができる。便利さを追い求めるあまり、自分の時間や人生の主導権を手放していないか、という自省を促す。ソローのこの一言は、人間とは何か、生きるとは何かという根本的な問いを、静かにしかし力強く投げかける名言である。
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