「友が私たちにとってどのような存在であるかばかりを考えていると、その人が本来どのような存在であるかを見失う危険がある」

- 1817年7月12日~1862年5月6日
- アメリカ合衆国出身
- 作家、思想家、詩人、超越主義哲学者、自然と個人主義の擁護者
英文
“There is danger that we lose sight of what our friend is absolutely, while considering what she is to us alone.”
日本語訳
「友が私たちにとってどのような存在であるかばかりを考えていると、その人が本来どのような存在であるかを見失う危険がある」
解説
この言葉は、友情という関係において、相手を自己の視点や都合からだけ見てしまうことの危うさを警告している。人はしばしば、自分にとっての価値や役割に基づいて友人を捉えてしまい、その人が持つ独立した存在としての本質――「絶対的な彼女」――を見落としてしまう。ソローはここで、友情における自己中心性と、それによる他者理解の歪みを鋭く指摘している。
この思想は、ソローの自己と他者との距離の取り方、そして誠実な人間関係を築くための倫理観と深く結びついている。彼は他者を単なる慰めや利得の手段として見るのではなく、一人の自由で自律した存在として尊重することの重要性を説いた。友情とは依存ではなく、相手の独立性を理解し、尊重することによって成り立つ関係である。
現代においてもこの名言は、感情的な依存や利便性に基づく人間関係が蔓延する中で、友情の本質を見つめ直すための示唆に富んでいる。たとえば、友人の助けや共感を当然とするような関係では、相手の自由や個性を見失いがちになる。ソローのこの一言は、真の友情とは、相手を「自分にとって」ではなく、「その人そのもの」として見るまなざしに支えられるべきだと教えてくれる。
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