「敬う心がなければ、人と獣とに何の違いがあるだろうか」

孔子の名言・格言・警句(画像はイメージです)
孔子の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 紀元前551年~紀元前479年
  • 中国(春秋時代の魯)出身
  • 思想家・教育者・政治家

英文

“Without feelings of respect, what is there to distinguish men from beasts?”

日本語訳

「敬う心がなければ、人と獣とに何の違いがあるだろうか」

解説

この言葉は、人間性の本質とは「敬意」を持つことにあるという、孔子の道徳思想の核心を突く教えである。孔子は、礼(れい)――すなわち節度・謙虚・敬意を重んじる行為――を人間関係と社会秩序の根幹と考えており、それがなければ人は本能に従って生きるだけの存在、つまり獣と変わらなくなると戒めた。

ここで言う「敬う心」とは、目上の者に対する形式的な礼儀だけではなく、すべての人間関係における相手への尊重と思いやりの精神を含んでいる。それは他者を人間として認め、対等かつ節度をもって接するための根本的な態度であり、社会を成立させる徳である。この敬意が失われると、利己主義や無秩序が生まれ、人間社会は破綻する

現代においても、匿名性や利害の対立によって敬意が損なわれる場面は多く見られる。孔子のこの言葉は、人間らしさとは何か、そしてどのように他者と共に生きるべきかを、根源的に問いかける。敬意なくして人間の品位は保たれず、それを持つことが人と獣を隔てる決定的な違いであるとするこの教えは、あらゆる時代に通じる道徳の根本である。

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