「良く治められた国では、貧しさは恥である。悪く治められた国では、富んでいることが恥である」

- 紀元前551年~紀元前479年
- 中国(春秋時代の魯)出身
- 思想家・教育者・政治家
英文
“In a country well governed, poverty is something to be ashamed of. In a country badly governed, wealth is something to be ashamed of.”
日本語訳
「良く治められた国では、貧しさは恥である。悪く治められた国では、富んでいることが恥である」
解説
この言葉は、社会の在り方によって個人の貧富の意味が大きく変わることを示した孔子の政治倫理に関する洞察である。孔子は、理想の政治とは民が平等に機会を与えられ、勤勉な者が報われる公正な社会であると考えた。そのような社会において貧しいままでいることは、怠惰や努力不足の象徴となるため「恥」とされる。
一方、悪政のもとでは、富を得る手段自体が不正や搾取に基づいている可能性が高い。そのような環境では、正直者が損をし、不道徳な手段で富を得る者が栄える。そのため、そこで富んでいることは社会的な不正に加担していることと見なされ、「恥」とされるのである。これは、道徳と経済の関係を政治状況と結びつけて考える孔子の深い視点を示している。
この言葉は、現代においても社会格差や制度的な不公正が議論される中で、倫理的な富のあり方や制度の正義を問う鋭い指摘として通用する。孔子のこの教えは、個人の成功や失敗を単独で評価するのではなく、それを生む社会構造の正しさを問うべきだという視点を私たちに与えている。
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