「君は死ぬ。君は死んでしまう。それが20年後か、明日か、いつかは分からない。でも、確実にそうなる。僕も同じだ。つまり、僕らはただ消えてしまうだけなんだ。世界は僕ら抜きでも進んでいく。──さあ、そんな現実を前にして、自分の仕事をどうやって全うするか。そして自分自身をどれだけ真剣に捉えるかは、自分で決めることだ」

- 1941年5月24日~
- アメリカ合衆国出身
- シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者
英文
“You’re going to die. You’re going to be dead. It could be 20 years, it could be tomorrow, anytime. So am I. I mean, we’re just going to be gone. The world’s going to go on without us. All right now. You do your job in the face of that, and how seriously you take yourself you decide for yourself.”
日本語訳
「君は死ぬ。君は死んでしまう。それが20年後か、明日か、いつかは分からない。でも、確実にそうなる。僕も同じだ。つまり、僕らはただ消えてしまうだけなんだ。世界は僕ら抜きでも進んでいく。──さあ、そんな現実を前にして、自分の仕事をどうやって全うするか。そして自分自身をどれだけ真剣に捉えるかは、自分で決めることだ」
解説
この言葉は、死の不可避性と人間の有限性に対する冷徹な認識を示しつつ、その前提を受け入れたうえでどう生きるか、どう行動するかを私たちに突きつける、ディランらしい厳粛で哲学的な一節である。「君は死ぬ。僕もだ」と語ることで、生のはかなさを普遍的な事実として受け入れ、誤魔化すことなく直視している。
そのうえで、「世界は僕らがいなくても進んでいく」という現実に触れることで、個人の存在が宇宙的には取るに足らないものであるという、虚無と解放が同居する視点が提示される。しかし、ディランはそこに絶望ではなく、「それでも自分の仕事をどう果たすか」という主体的な選択の余地を見出している。「自分をどれだけ真剣に扱うか」は他人に決められるものではなく、自分自身が死と向き合いながら決定するしかないという、深く静かな責任感がこの言葉の核にある。
現代においても、死を意識することは避けがちであるが、この名言は、死の確実性がむしろ生の選択を明確にし、自己の在り方に誠実であることを促す原動力になるという強いメッセージを含んでいる。終わりがあるからこそ、今どう生きるかが問われる──ディランのこの言葉には、人生の儚さと重さを同時に抱きしめる詩人の視線が宿っている。
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