「私は僕たち全員の声を代弁している。私はひとつの世代の代弁者なんだ」

ボブ・ディランの名言・格言・警句
  • 1941年5月24日~
  • アメリカ合衆国出身
  • シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者

英文

“I’m speaking for all of us. I’m the spokesman for a generation.”

日本語訳

「私は僕たち全員の声を代弁している。私はひとつの世代の代弁者なんだ」

解説

この言葉は、ディランがかつて「時代の声」「世代の代弁者」として受け止められていた役割を、明確に認識し発言していた瞬間を示す重要な表明である。1960年代、公民権運動やベトナム戦争への反対運動など、社会が大きく揺れ動く中で、彼の歌は個人の叫びでありながら、同時に多くの若者たちの思いを代弁するものとして強い影響力を持った。

とはいえ、ディラン自身はこうした「スポークスマン(代弁者)」という立場を一貫して不快に感じ、否定的な態度を取ることが多かった。実際、後年には「そんなことは一度も言っていない」と発言し、報道や大衆の過剰な期待に距離を置こうとした。この言葉は、初期の頃にそうした期待を一時的に受け入れていた、あるいは皮肉を込めて語ったものである可能性も高い。

現代においても、カリスマ的な人物が「時代の声」とされることはあるが、この名言は、その重みに対する戸惑いや、個人と時代の関係の複雑さを象徴する言葉でもある。誰かが一世代すべてを代表することなど本質的には不可能であり、それでもその声が時代と響き合う瞬間があるというパラドックス──それがディランという詩人の宿命でもあった。この言葉は、その葛藤と栄光の両方を内包する、一瞬の象徴である。

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