「ツアーが嫌いな人は多いが、私にとっては呼吸のようなものだ。それをやるのは、そうせずにはいられないからだ」

ボブ・ディランの名言・格言・警句
  • 1941年5月24日~
  • アメリカ合衆国出身
  • シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者

英文

“A lot of people can’t stand touring but to me it’s like breathing. I do it because I’m driven to do it.”

日本語訳

「ツアーが嫌いな人は多いが、私にとっては呼吸のようなものだ。それをやるのは、そうせずにはいられないからだ」

解説

この言葉は、ディランにとってのツアー(巡業)という行為が、義務でも仕事でもなく、生きるために欠かせない本能的な営みであることを明確に語っている。「呼吸のようなもの(like breathing)」という比喩は、ツアーを通して初めて自分が存在できるという感覚を強く伝えており、そこには演奏者としての根源的な衝動と必要性がある。

ディランは1988年から「ネヴァー・エンディング・ツアー(終わりなき旅)」を続けており、その姿勢は表現者としての執念と精神の自由を象徴するものとされてきた。この発言は、そうした活動の根底にある動機──やらなければならないのではなく、「やらずにはいられない」衝動──を示している。つまり、ツアーという行為は、彼にとって表現であると同時に生存の手段でもある

現代においても、創作者や表現者が「なぜ創るのか」「なぜ続けるのか」を問われることが多いが、この名言はその問いに対する最も率直で根源的な答えを提示している。外的な評価や義務感を超えて、「呼吸のように自然で、不可避な行為」として芸術に取り組む姿勢は、ディランという存在の核心をなすものである。芸術とは意志ではなく、生きる動力そのものであるという真実が、この言葉に宿っている。

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