「私は自然に反対している。自然なんてまったく好きじゃない。自然はとても不自然だと思う。本当に自然なものとは夢のことであり、それは自然がもたらす腐敗に触れられないものだと考えている」

ボブ・ディランの名言・格言・警句
  • 1941年5月24日~
  • アメリカ合衆国出身
  • シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者

英文

“I am against nature. I don’t dig nature at all. I think nature is very unnatural. I think the truly natural things are dreams, which nature can’t touch with decay.”

日本語訳

「私は自然に反対している。自然なんてまったく好きじゃない。自然はとても不自然だと思う。本当に自然なものとは夢のことであり、それは自然がもたらす腐敗に触れられないものだと考えている」

解説

この言葉は、自然の持つ摂理や循環に対する反感と、夢という抽象的かつ永続的な世界への傾倒を鮮やかに表現している。ディランはここで、「自然=本質的なもの」という一般的な前提を真っ向から否定し、むしろ自然は変化と腐敗、つまり死に支配された不完全な現象であると捉えている。彼にとって本当に「自然なもの」は、現実の制約を受けず、永遠に生きる夢の世界に存在する

この発言には、詩人としてのディランの現実批判と超越志向が色濃くにじんでいる。自然界がすべてのものを老いと死へと導くのに対し、夢や芸術は時間や物質の支配を受けず、腐敗しない。このような観点は、詩や音楽という創造行為が現実に対抗する「もうひとつの自然」たり得るという信念を反映している。

現代においても、「自然との共生」や「持続可能性」が叫ばれる一方で、人間の精神や創造性が自然の理法とは異なる次元で輝くという考え方は根強い。この名言は、肉体や物質に囚われない精神の自由こそが、人間の本来の姿であるという思想を明確に打ち出している。自然を拒み、夢の中に永遠を見るディランの視線は、詩人としての徹底した精神主義の証である

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