「私たちの複雑な過去の結果として苦しんできたすべての方々に、心からのお見舞いと深い哀悼の意を表します。歴史を振り返る視点を得て、私たちは皆、もっと違った形でなされていれば、あるいは全く行われなければよかったと思うことが見えてきます」

エリザベス2世の名言・格言・警句(画像はイメージです)
エリザベス2世の名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1926年4月21日~2022年9月8日
  • イギリス出身
  • イギリス女王

英文

“To all those who have suffered as a consequence of our troubled past I extend my sincere thoughts and deep sympathy. With the benefit of historical hindsight we can all see things which we would wish had been done differently or not at all.”

日本語訳

「私たちの複雑な過去の結果として苦しんできたすべての方々に、心からのお見舞いと深い哀悼の意を表します。歴史を振り返る視点を得て、私たちは皆、もっと違った形でなされていれば、あるいは全く行われなければよかったと思うことが見えてきます」

解説

この発言は、エリザベス2世が2011年にアイルランドを訪問した際、ダブリン城で行った歴史的演説の一部である。イギリス君主として初めてアイルランドを公式訪問したこの場面で、女王は英国とアイルランドの間に存在してきた長い歴史的対立に対して、深い共感と反省の意を示した

troubled past(複雑な過去)」とは、植民地支配、独立闘争、そして20世紀の北アイルランド紛争に至るまでの暴力と対立の歴史を指す。エリザベス2世はここで、苦しんできた人々への直接的な思いやりと、過ちを認める姿勢を明確に示している。このような公式の場での言葉は、謝罪の形式をとらずとも、誠意ある和解の意思表示として大きな意味を持つ

この発言は、歴史の痛みを否定せず、それを直視したうえで未来へと進むための誠実な態度を体現している。また、「hindsight(後知恵)」という表現には、過去の行動を絶対視せず、批判的に見直すことで新たな理解と協調を築こうとする姿勢が込められている。エリザベス2世はこの言葉を通じて、過去に対する敬意と未来への希望を両立させる王室の役割を果たしたのである。

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