「他の世界を信じぬ者は、この世においてすでに死んでいる」

- 1749年8月28日~1832年3月22日
- ドイツ出身
- 詩人、劇作家、小説家、哲学者、政治家
英文
“He is dead in this world who has no belief in another.”
日本語訳
「他の世界を信じぬ者は、この世においてすでに死んでいる」
解説
この名言は、人間の精神的な生き方と信念の有無との関係を鋭く表現している。ここでゲーテが言う「another(他の世界)」とは、単に宗教的な「来世」だけを指すのではなく、理想・希望・精神的次元といった、現実を超えた何かを信じる心の在り方と解釈すべきである。そのような信念を持たぬ者は、生きていても内面的にはすでに死んだような状態にあるという厳しい指摘である。
ゲーテは、物質的な現実だけにとらわれず、人間にはより高い目的、真理、美、倫理といった次元を目指す力があると信じていた。そうした内的世界を否定することは、人間としての精神的成長や意味ある生の可能性を閉ざすことに他ならない。この名言は、「信じる力」が生きる力であり、それを失ったとき、人は魂の生命をも失うという哲学的警告でもある。
現代においても、科学的合理主義や現実主義が重視される一方で、希望や信仰、理念といった目に見えない「もう一つの世界」への信頼が失われがちである。この名言は、精神の豊かさや生の意味を支えるのは、物質ではなく、目に見えぬものを信じる意志であるという、普遍的で本質的な教えを私たちに思い出させる。信じる心を失った瞬間、人は外的には生きていても、内なる命を失ってしまうというゲーテの洞察は、今もなお深く響く。
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